本校が目指す人づくりとは・・・・・・・

八ヶ岳連峰型学校経営で人類が直面する問題に応える実学を通して

持続可能な人類・食料・社会・環境のために

農・食・環境・生命を学び社会に貢献できる人材を育てます。

 富山県立中央農業高校ホームページをご覧いただきありがとうございます。

 本校校長の室井康志と申します。

 本校は、昭和 33 年4月に富山県立富山通信産業高等学校として開校し、昭和 44 年に文部省より自営者養成農業高等学校の指定を受けて現在の校名に改称しました。そして平成15年4月、本科に生物生産科、園芸デザイン科、バイオ技術科の3学科を、農業特別専攻科に担い手育成コース、庭園コースを設置して今日に至っています。

 本校は、60有余年を数える歴史の中で、「自主・協同・勤労」の校訓のもと、実に多くの卒業生が地域農業の担い手として活躍し、県内の畜産農家や作物生産に携わる経営者の中でもリーダー的な役割を果たすなど、本校は富山県の農業教育の中心として機能しています。また、農業以外の様々な分野にも多くの有為な人材を輩出し、地域のニーズに応える学校であり続けるよう努力を積み重ねてまいりました。

 本校の大きな特色は、「大地と自然 それが私たちの教室です。」をキャッチコピーとしている広大な敷地と綠豊かな自然環境に恵まれた学舎や寄宿舎で農業教育・普通教育・寄宿舎教育を三本の柱とし、八ヶ岳連峰型学校経営(本校独自の通称で、各教員同士が、自分の得意分野の頂を極めながら切磋琢磨できる学校経営体組織のこと。)によって、食・農・環境・生命を学び、持続可能な人類・食料・社会・環境のために貢献できる人材を育ててまいります。

 それではここで、本校の専門教育である農業教育について大切なことをお話しさせていただきます。京都にある法隆寺専属の宮大工で、宮大工の神様と呼ばれていた西岡常一(にしおか つねかず)氏のお話です。常一氏の父も祖父も法隆寺の宮大工の棟梁でした。常一が高校への進学の際、お父さんは常一を同じ宮大工にさせるために工業高校への進学を勧めるわけですが、祖父の強い命令で農業高校に進学させます。木を扱う宮大工として、祖父は樹木という生命の尊さと森の中の土の性質や場所によって樹木は多様化し、原木の性質や癖を見極める素養を身につけさせます。卒業後も、祖父は一年間の米づくりをさせます。すなわち、技術や技能の前に、木を扱う大工として、命の本質を学ばさせたかったのです。常一は、晩年、こう述べています。「今あるのは、三年間の農業教育のおかげやと思います。今になってはじめてじいさんの真意がわかってきたということですわ。」

 このように、農業教育の根幹をなす農学は、作物や野菜を生産するためだけの学問ではありません。命や健康の問題、地球環境や国土の保全問題、エネルギー問題、伝統文化の継承、疲れた心を癒やし、本来の自分を取り戻していく福祉や医学の学びまで、身近な生活から地球規模の問題までを総合的に解決していこうとする学びから、西岡常一氏の土台を作り上げた人間の原点となる教育までダイナミックな学びが農業教育にはあるのです。そして、この学びを完成させるために様々な角度から普通教科の科目や寄宿舎教育が支えています。

 学校行事では、季節の折々に様々な企画を用意している他、農業クラブ活動や資格取得、部活動など多岐にわたる取り組みを行っています。これらの教育活動は、生徒を主役とし、活躍の場を提供するためのものです。農業クラブ全国大会では、これまで何人もの最優秀受賞者を輩出する他、昨年のお米甲子園のプレゼンテーション部門では、グランプリの受賞者を輩出するなど、進路実現に結びつけています。その歴代の受賞者の中には、本校の教員となって教鞭を執る先生方も増えてきております。

 このHPの中でも、生徒の顔はとても自信に満ちあふれており、皆が楽しそうにいろいろな活動に加わっている様子が分かっていただけると思います。「中農きまぐれ日記」をはじめ、学校案内の「大地と自然」のページや学科・コースの紹介ページを是非ご覧ください。

 学校では、今日も校舎、農場、寮などから、生徒たちの明るく溌剌とした声が聞こえてきます。本校に集う生徒たちが日々充実した学校生活を送り、自信をもって生きる力に、農業高校ならではの「農の心」を加えて社会に力強く羽ばたいていってくれるよう、教職員一同が心を一つにして努力を重ねてまいります。

 今後ともご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げ、ご挨拶といたします。

第21代校長 室 井 康 志